遺言をすべて自分で作成するときは、自筆証書遺言の方法により作成します。
自筆証言遺言の要件は、遺言の内容の全文と日付を自署し、署名、押印することです(民法968条1項)。
全文と日付は、自署つまり自分の手書きで書かなければなりません。代筆は認められませんし、ワープロ、パソコンによる文章の作成も認められません。
日付は、遺言は最後のものが有効なものとされ、前の遺言で最後のものに矛盾するものは撤回されたものとされることから、かなり厳格に取り扱われており、日付の記載がなければ遺言は無効になります。また、暦上の特定の日を表示するものでなければならないので、平成○年○月吉日というような記載ではいけません。平成(西暦)○年○月○日という記載をしておけば問題ないでしょう。
署名は、もちろん自分の手書きでなければなりませんが、必ずしも戸籍上の名前である必要はなく、通称や芸名でも良いとされています。もっとも、後の争いを避けるためには、戸籍上の氏と名をきっちり署名しておくのが良いでしょう。
押印は、認印でも良いとされています。指印については、有効と認めた判例(最判平成元年2月16日民衆43巻2号45頁)もありますが、この判例には反対意見もついていたため、有効性について判例が覆るおそれもないとは言えません。ですので、指印ではなく印鑑を用いる方が無難でしょう。